福島第一原発周辺の通行車両を除染する作業員。「一日1回、防毒マスクのフィルターを交換しています」〔PHOTO〕結束武郎(以下同) 福島第一原発周辺の通行車両を除染する作業員。「一日1回、防毒マスクのフィルターを交換しています」 芝生の上にサッカーボールは見当たらなかった。ピッチの隅に追いやられたゴールの脇では、クレーン車が鉄板を敷き詰める作業を進めている。駐車場に目を向けると、陸上自衛隊の74式戦車が2台と航空自衛隊の赤い消防車数台が見える。 パタパタパタパタ・・・。 大きな音がする方角を見上げると、迷彩色のヘリコプターが降下してきた。砂埃が上がる着地点に向け、防毒マスク、防護服をまとった白装束の男たち数人が駆けていく—。サムライジャパンの合宿所として知られる、日本最大のサッカー施設「Jヴィレッジ」(福島県双葉郡楢葉町)。原発建設の見返りとして東京電力が県に寄贈した広大なサッカー場は、皮肉