3月10日は俳優、渥美清の誕生日。存命なら85歳になっている。渥美清といえば『男はつらいよ』シリーズの主人公、車寅次郎だ。同シリーズは全48作。ほとんどの作品で鉄道の情景が出てくるため、鉄道ファンにも人気の高い作品だ。 第5作『望郷篇』は、その中でもかなり鉄分の濃い作品である。物語の前半で小樽機関区が登場し、寅さんが機関助士の青年を訪ねる場面がある。勢いに乗った寅さんがデゴイチの運転室に乗り込み、運転士に怒られる。タクシーでデゴイチを追いかける。保存鉄道ではない、生き生きとした蒸気機関車の日常が描かれている。 世話になった親分と豆腐屋の美女 旅先から戻った寅次郎(渥美清)は、いつものように柴又の団子屋・とらやでひと悶着。そんなとき、舎弟の登(津坂匡章、後に秋野太作へ改名)が訪ねてくる。寅次郎が世話になった札幌の親分が危篤という。急遽、札幌へ向かった寅次郎は、「愛人に産ませた息子に会いたい」