2016 - 09 - 04 シン・ゴジラと虚構【ネタバレ注意】 同じ事を繰り返している限り、新しい時代とは言えません 「 ゴジラvsビオランテ 」 1954年。「 ゴジラ 」の物語は、一人の科学者の死によって閉じられた。 その巨大生物が去った後に残されたのは、黒煙立ち上る焦土と化した街並みと、そこに為す術無く立ち尽くす人々だった。再び失われた東京にこだまする「ちくしょう、ちくしょう」という嘆きの声。戦後9年目という時期に作られた初代 ゴジラ には、先の全面戦争の記憶がまだ生々しさを保ったままの姿でそこかしこに焼き付けられている。 庵野秀明 は、多大なリスペクトをこの初代 ゴジラ に捧げている。彼は「別冊 円谷英二 」所収「『怪獣』という存在の耐用年数」のなかでこう述べている。 「畏怖の対象として描く怪獣映画の最高峰。怪獣を主役と据える映画に必要な素が無駄なく詰まり、適切に配置されて