2014年、シリアの都市ラッカに行った時のことだ。そこには反アサド政権勢力のムジャーヒディーン(イスラームの大義に則った聖戦、ジハードに参加する戦士)の中でも、もっとも過激と言われている組織ISISの本拠地がある。そのキャンプで若い戦士たちと寝泊りしていたところ、シベリアから来たタタール系ロシア人の青年に突然、「日本人ですか?」と日本語で話しかけられた。 「僕はロシアで日本のアニメのコスプレをしていたんです。何のコスプレかって? 『るろうに剣心』の相楽左之助ですよ」 なんでもイスラームに目覚める前、ロシアで『るろうに剣心』のアニメを熱心に見ていたらしい。彼のことを「『るろうに剣心』のコスプレイヤーだったけれど、今、ムジャーヒディーンになったのか」と驚く人がいるかもしれない。しかしこうも考えられないだろうか。「『るろうに剣心』のコスプレイヤーだったからこそ、ムジャーヒディーンになったのだ」と