東京五輪エンブレムの使用中止に、ネット炎上の影響が「無かった」とは言えないと思う。 もちろんこの「思う」は、関係者に取材をあてて話を聞いたわけではないし、感想レベルだ。 でも、まあそうかな。そうだろう?当たり前だろ!というネットの個々人の反応は予想がつく。 何の証明も無く、何の責任も負わず、ただの「感情」のうねりが、エンブレムを使用中止に追いやったのじゃなかろうか。 それは、本来の意味での反知性主義に近いのでは無いか。 リンチと人民裁判と、群衆から石を投げる人達 そうした“リアルの与論”に近い性質を帯びるようになった“ネット世論”が、警察や裁判所や第三者機関を介するでもなく、リツイートやシェアやまとめサイトを経由して増幅し、テレビや週刊誌を先回りするかたちで問題を暴き、批判し、蹂躙していく――その風景が、私にはとても恐ろしく感じられた。 ネットの暗い情念が“世論”と接続してしまう怖さ -