日本兵は味方兵士の「遺体」回収にものすごく熱心だった。しかし、その一方で、苦しんでいる傷病者の扱いは劣悪で、撤退時には敵の捕虜にならないよう「自決」を強要した。このような態度を米軍はどう見ていたか? 一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』より「第二章 日本兵の精神」を特別公開します。 個人とその生命を安易に見捨てた過去の姿勢を、現代の日本社会は脱却できたと言えるのだろうか……。 葬送と宗教 日本兵の宗教観と死生観について、米軍はどのように観察していたのだろうか。 本書にたびたび登場する元捕虜の米軍軍曹は、日本軍将兵の死者に対する弔い方、宗教精神のあり方を次のように詳しく描写している(IB*1945年1月号「日本のG.I.」)。 *米陸軍軍事情報部が1942-46年まで部内向けに毎月出していた戦訓広報誌Intelligence Bulletin(『情報公報』)。日本軍とその将兵、装備