4年前に始まった両陛下の私的旅行は8回目を数えた。ある時には魚市場をご覧になり、時に紅葉を楽しまれ、時にサクランボを収穫された。しかし、そんなプライベートタイムでも「象徴の重責」から解放されることはない。今回もまた、両陛下はある思いを胸に秘めて旅路へとつかれていた。 「三国時代」と聞けば、誰もが思い浮かべるのは3世紀頃の中国で魏、呉、蜀が覇権を争った、いわゆる三国志の時代のことだろう。 実は、4世紀から7世紀にかけての朝鮮半島でも3つの国がにらみ合う時代があった。「百済」、「新羅」と並び、朝鮮半島の北半分と中国南西部を支配したのが「高句麗」だった。一時は三国の中で最大規模の領土を誇ったが、668年、新羅と唐(中国)の連合軍に破れ滅亡。祖国を失った人の中には、海を越え日本にまで逃れた人々がいた。 彼らが多く移住したのが、現在の埼玉県日高市と飯能市にまたがる地域。高句麗にちなみ、明治時代まで高