『ソラリス』の文庫化、『泰平ヨンの未来学会議』改訳につづき、ファン待望の一冊が出版された。欣快! このベスト選の成りたちはちょっと変わっている。本国ポーランドの読者投票によってレム短篇の人気作を選び、その結果とレム研究家イェジイ・ヤジェンプスキの評価を摺りあわせて暫定リストがつくられた。そして最後に、レム自身が好みでない作品を落とし偏愛する作品をつけくわえ、「ベスト15」が編まれた。原著は15篇収録だが、そのうち既存日本版で入手容易なものを省いたのが、この日本版『短篇ベスト10』だ。 10篇のうちわけは、《泰平ヨン》シリーズが4篇、《ツィベリアダ》(『ロボット物語』『宇宙創世記ロボットの旅』)が4篇、連作『宇宙飛行士ピルクスの物語』から1篇、どのシリーズにも属さない独立した作品が1篇。 ちなみに日本版で省かれた5篇は、架空の書物についての書評集『完全な真空』に収録の4篇(邦訳は国書刊行会