學士會は近頃盛んに会員外(旧帝大系大学卒以外)の有識者を招いて講演会をしているようだ。それは非常によいことだと思う。同会の最新号(『學士會会報』 2010年7月号 No. 883)には、英語学の外山滋比古(とやま・しげひこ)による午餐会講演の記事が載っていた。彼は東京文理科大学出身でお茶の水女子大学の名誉教授だから、会員外の招待講演者ということになる。 演題は『知識と思考』であるが、パラグラフに関する考察が主題である。読んでみて、日頃からパラグラフを教えている立場からすると多少気になる箇所も散見したが、趣旨には基本的に同意できる。彼の主張を紹介する前に、パラグラフとは何かについて説明しておこう。パラグラフとは paragraph であるが、日本語に訳されて「段落」といわれる。しかし、それはパラグラフの訳としては不十分であるが、適訳がないので外山同様に余もパラグラフとしておこう。 すぐさま前