ジュゼッペ・トルナトーレは『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)の脚本家で監督だ。 『みんな元気』(1990。舞城王太郎の『みんな元気。』[新潮文庫・Kindle版]はここから取ったのかな?)は、最後のほうちょっと泣けて、いっしょに行った人に恥ずかしかったなー。 そのトルナトーレが『鑑定士と顔のない依頼人』(柱本元彦訳、人文書院)という小説を書いた。 『鑑定士と顔のない依頼人』というのは、監督の映画のほうの最新作の日本語題だ。こういうのって配給会社が決めるんだよね? 登場人物は全員英語話者なので、映画は英語。イタリア語題も英語題も訳すと「最良のオファー」。イタリア語で書かれた小説版の原題もそう。 1冊の本として刊行されてはいるけれど、短篇小説だ。短篇のくせに、生意気に作者の序文がついている。 この序文によると、脚本家でもあり監督でもあるトルナトーレは、着想がかなり固まってからでないと、