最初の動機は「大学に学生が集まる場がない」という問題意識だった。早大では放課後に空き教室を利用するのに大学の許可が要る。学生会館を使うにも、活動実績などの要件を満たさなければならない。「何で集まるだけで大学の許可が必要なんだ」。抗議活動の団体は「勝手に集会」と名づけた。 拡声器を片手に学内でデモや討論会を続けるうちに、議論となるテーマは就職活動や若者論、経済格差問題などに広がっていった。大隈講堂前の広場に鍋を持ち込んで宴会を開くなど、規制を強める大学に対して風変わりな抗議活動も展開した。こうした動きがインターネット上で話題を集め、他大学の学生も参加するようになった。 慶応義塾大学経済学部2年の宮内春樹さんもその1人だ。宮内さんの場合は、入学直後から就活に有利な科目やサークルを選ぼうとする周囲の学生に違和感を覚えていた。「大学生活が就活に侵されている」。問題意識を率直に議論できる仲間が必要だ