(所蔵・早稲田大学) 文化財保護を通じて世界平和を訴える平成の平山郁夫を象徴する一作です。平成14年(2002)の作品ですが、平成17年には第89回院展の地方展にも出品されました。縦1.7メートル、横5.5メートルという大作です。 釈迦・キリスト・マホメットの三人を描く絵は昭和50年(1975)にも「新三一図(平和の祈り)」として描かれています(下の図)が、この作品が21世紀になって新しく描かれたのは、タリバンによるアフガニスタン・バーミアン大石仏の爆破、2001年の9.11同時多発テロと言ったイスラム過激派による凄惨な事件が続発したことと無関係ではありえません。 世界地図を背景にあしらい、雲上に三聖人を立たせることで、世界平和を祈念する思いがより強く表現されているのではないかと思います。 両作品とも、中央には釈尊が描かれますが、これは厳しい対立をしがちな一神教どうしを、仏教の寛容さと慈悲