おれは数学が嫌いだ。もちろん苦手でもある。高校程度の数学は全く解らない。この話をするとよく驚かれるが、本当のことである。 どうして数学が嫌いなのか。決して「よく知らない」わけではない。数学そのものは人類の産んだ最高の道具の一つだと考えている。だけど好きになれない、というのが本当のところか。 数学は素晴らしい道具であるが、道具として使いこなしてる人は人類の1%もいないのではないかと時々思う。僕くらい普段から数式に接していても、仕事や生活の中で因数分解が必要な状況というのはめったにない。いや、一度もなかったかもしれない。一度くらいはあったかな。 しかし「因数分解」という概念は極めて重要で、「因数分解」という言葉を使うことはよくある。これもまた数学の道具としての便利さなのかもしれない。 僕が数学を嫌いになったのは、まさしくこの因数分解がきっかけである。 実を言うと、それまでは数学が比較的好きだっ