政府が31日示した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」と「新しい資本主義」実行計画の原案は、軽視されてきた「人への投資」を抜本的に強化し、人材と資金を成長分野に向かわせて、経済のダイナミズムを取り戻すことを狙う。 【図解】主要国の平均賃金推移 脱炭素化やデジタル化が加速する中、「失われた30年」と呼ばれる長期停滞から脱却するため、新たな企業の参入を促し、産業の新陳代謝を進める構造転換も不可欠となる。 岸田文雄政権は、企業は利益をため込むばかりで、賃上げや設備投資を怠り、国際競争力の低下を招いたとの強い危機感を持つ。2020年度末に企業が積み上げた内部留保は484兆円。しかし、経済協力開発機構(OECD)によると、20年の日本の平均賃金は物価水準を考慮した購買力平価実質ベースで3万8515ドル(約490万円)と30年間で4%しか上がらず、韓国に抜かれた。実行計画では「成長の果実」が分配に回ら