(花園 祐:上海在住ジャーナリスト) 2012年頃のことです。筆者は、日本と中国の製造業における技術格差について、周りの人によく次のようなことを口にしていました。 【本記事の写真】2020年北京モーターショーの様子。中国の新興自動車メーカーBYDの新型電気自動車とコンパニオン 「日本と中国の技術格差は2000年頃が100:1だとすると、今は10:1程度にまで縮まっている。今後、この差はさらに縮まっていくだろう」 そうした考えから、日系企業関係者に会うと「今なら日系企業が保有する技術や特許には中国企業の買い手がつくはず。それらはまとめて売却し、そのお金で新規事業に投資した方がいい」と勧めていました。 あれから約10年が経った現在、当時は買い手がついたであろう日系企業の特許や技術を買いたいと思う中国企業は、もうないでしょう。 また日本と中国の技術格差も、10:1どころではなく、現場労働者の能力