ウル遺跡での調査に参加しているコレージュ・ド・フランスのアッシリア学者、ドミニク・シャルパン氏が、アメリカ・イラク合同チームが発掘したくさび型文字が刻まれた板を調べている。(Photograph by Mahan Kalpa) イラク南部の荒涼とした砂漠。ここは世界最古の国際的な大都市があったとされる場所だ。一面が黄褐色のこの地で、発掘調査を進める考古学者らは黒檀の小片を発見した。長さが小指ほどもないこの小片は、はるかインドから、4000年も前に持ち込まれたものだ。ここからグローバル経済の始まりが垣間見える。 聖書にアブラハムの故郷と記されているウルの街は、紀元前2000年頃には富裕な帝国の中心都市だった。西へ約1200キロ離れた地中海や、東へ約2400キロ離れたインダス文明(古代メソポタミアではメルッハと呼ばれていた)から貿易商がここに集まってきた。(参考記事:「ラクダの家畜化は紀元前1