日本では、妊娠した高校生の大半が中退する。だが、退学しなければならない国や自治体の規則はない。学校を続けられるかどうかは、周囲の教員の理解と協力にかかっている。妊娠相談を受ける民間団体のほか、一部の教員からも「若年妊娠を問題行動と切り捨てるのではなく、貧困の連鎖に陥らせないため支援する対象と認識すべきだ」との声が上がる。【黒田阿紗子、写真も】 ◇「助言欲しかった」 埼玉県内に住む女性(31)は16年前、進学校で知られる私立高に入学した直後、交際する同級生との間で妊娠していたことが分かった。既に6カ月で、中絶はしたくなかった。「1年休学した後、復学したい」。校長と担任教諭に何度も頭を下げたが「悪い前例になってしまうので自主退学して」の一点張り。最後は、妊娠には触れずに「退学したい」と直筆で書かされた。 小学6年の時に両親が離婚。生活保護を受けながら一緒に暮らす母親は精神的に不安定で食事