大阪市を四つの自治体に分割した場合、標準的な行政サービスを実施するために毎年必要なコスト「基準財政需要額」の合計が、現在よりも約218億円増えることが市財政局の試算で明らかになった。人口を4等分した条件での試算だが、結果が表面化するのは初めて。一方、市を4特別区に再編する「大阪都構想」での収入合計は市単体と変わらず、行政コストが同様に増えれば特別区の収支悪化が予想される。特別区の財政は11月1日投開票の住民投票でも大きな争点で、判断材料になりそうだ。 スケールメリット失う 国の地方交付税制度は、自治体が一定水準の行政サービスを維持できるよう、基準財政需要額から基準財政収入額(地方税収を4分の3にするなどして算定)を引いて不足分を国が補う仕組みだ。税収の多い東京都は交付税をもらわずに財政運営できるが、大阪市のように交付税に頼る自治体は「交付団体」と呼ばれる。 基準財政需要額は、「社会福祉費」