欧米の多文化主義政策は、なぜ行き詰まってしまったのか。そして、「多文化共生社会2.0」時代に突入しようとしている日本は多文化先進国から何を学ぶべきなのか。第1回の記事では欧米の多文化共生政策の失敗を概観したが、今回はいち早く多文化主義政策を導入し、そして頓挫してしまった「自由の国」オランダの例を見てみよう。 ちなみに、多文化主義とは何を意味するのか。日本では「ゴミ出し」や近所付き合い、言語や教育などのイシューが個別に議論されても、政策としての一貫した定義はなされていない。海外の研究者の間でも定義はまちまちだが、私は「社会の文化・宗教の多様性を尊重し、マイノリティに自由と平等を保障しつつ、かれらの社会・経済統合を促す政策」とする。 移民問題が深刻化している欧州の代表例として、ドイツやフランスといった国がよく報じられるが、どこよりも寛容な多文化主義政策をとったにもかかわらず、大きく挫折している