創立からモダン前夜まで―――クラシック・ジャズの時代 1939年1月6日。マンハッタンの貸しスタジオ。ひとりの熱心なジャズ・ファンが始めての録音を試みる。彼の名をアルフレッド・ライオンという。ベルリン育ちのユダヤ人で、戦乱のヨーロッパを捨てて2度目の冬だった。 前年初めてニューヨークに紹介されたシカゴのブギ・ウギ・ピアノに驚嘆し、抑えるに抑えられない思いでミュージシャンにかけあい、スタジオを予約し、レコード制作の何の予備知識もないままこの日を迎えた。ただしミュージシャンにいい気分で演奏してもらえるよう、果物や飲み物だけはたっぷりと用意したそうだ。 この日の録音から、ミード・ルクス・ルイス〈メランコリー/ソリチュード〉など2枚のSP盤(両面2曲入りの78回転盤)が生まれる。当初は仲間うちに配る私的盤程度のつもりだったが、出来に満足したアルフレッドは小部数を販売してみることにする。 こうしてブ