それは今年6月27日、京都市内の任天堂本社で開催された定時株主総会でのことだった。議事が粛々と進行、最後の質疑応答が中ほどまで来た時、総会の事務方をしていた任天堂社員たちの顔が一瞬凍りついた。議長の岩田聡社長の指名で質問に立った株主が「コスト高になっていたのなら、リストラをすべきではなかったのか」と、語気強く社長に迫ったからだった。同社関係者は、「同社の株主総会で、株主が経営陣にリストラを要求するなんて、これまで聞いたことがない」と驚く。 ある意味で、2期連続の営業赤字に陥った経営に対する、同社役員・社員と株主の間の危機感の温度差を示したシーンだったと受け止める一部株主の間では、「岩田経営」に対する苛立ちも高まっている。 同社が4月24日に発表した2013年3月期連結決算は、営業損益が364億円の赤字(前期は373億円の赤字)で、従来予想より赤字幅が164億円拡大した。家庭用ゲーム機・Wi