2006年、サッカーW杯ドイツ大会。フランス対イタリアの決勝戦、フランス代表のジネディーヌ・ジダンは試合終了間際にイタリア代表のマルコ・マテラッツィに頭突きを浴びせ、退場となった。 ジダンの家系がアルジェリア出身のムスリム(イスラム教徒)であることから、「テロリスト」と罵倒されたとの憶測が飛んだが、本書の著者は、ムスリムがテロリスト扱いされることも9.11以降は珍しくないと指摘した上で、こういう。 〈考えられるのは、母親、姉妹、妻などの女性親族に対する侮辱、それも性的な意味合いを含んだ侮辱しかない〉 なぜなら、その類いの侮蔑に「暴力も辞さないのは、ムスリムに共通の反応」だからだという。西洋社会において、「ファック」などの性にまつわる罵倒はありきたりなことだが、ムスリムにはタブーだ。 〈私たちが知っておくべきは、彼らの規範には私たちと異なる、越えてはならない一線がある〉 この言明自体は正しい
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