1. 疾患概念 2012年のChapel Hill Consensus Conference1)で示されたIgA血管炎は、ヘノッホ・シェーライン紫斑病(Henoch-Schönlein purpura:HSP)のことをさす。感染を契機に、紫斑、関節痛、腎炎、消化器症状を主徴とする細小動脈〜毛細血管炎で、小児に多い疾患である。 2. 疫学 小児では最も頻度の多い血管炎で、10万人につき約20人で発症するとされる。発症は3~10歳に最も多く、男児がやや多い(男女比=1.5~2.0:1)。秋から冬に多く発症し、上気道・消化器感染が先行することが多い。突然発症する症例が多く、約50%に紫斑病性腎炎を発症する。 3. 病態生理 原因は不明であるが、30〜50%の症例ではβ-溶連菌が証明されている。その他、マイコプラズマ、水痘、麻疹、風疹、アデノウイルス感染や薬剤アレルギーが誘因となることもある。皮膚