前章では,継続を利用すれば実行中のプログラムが自分の状態を把握し, それを保存して後で再開することができることを示した. この章で扱う計算処理のモデルは, 計算機が単一のプログラムを実行するのでなく,独立したプロセスの集合を実行するというものだ. プロセスの概念はプログラムの状態という概念と深い対応関係にある. 前章で示したマクロの上にさらにもう一層のマクロを書くことで, Common Lispプログラムの中に複数プロセスを埋め込むことができる. プロセスの抽象化 複数プロセスは,複数の処理を同時に行わなければならないプログラムを表現するのに便利だ. 伝統的なCPUはインストラクションを1つずつ実行する. 「複数プロセスは同時に複数の処理を行う」というのは, このハードウェア上の制限をどうにか乗り越えるという意味ではない. それを使って,抽象化の新たな段階でものを考えられるようになるという