娘たちが幼い頃、寝かしつけようとしても「眠れない」と訴えてくることがあった。夏の、寝苦しい夜などは特に。 そんなときは、子守歌よりも効く方法がある。そっと頭を撫で、私はこんなふうにささやいた。 さあ目を閉じて…… 今日はどんな夢を見ようか 綺麗なところへ行く夢はどう? あなたはどこへ行きたいかな? お空を飛んで、遠くまで行こうか 広い広ーいお花畑の上を飛ぶのもいいし…… もっとずっとずっと広ーい海の上を飛んでもいいね ほら、あっちでイルカさんたちが跳ねているよ ねえ、海にもぐっちゃうのはどう? たくさんのおさかなといっしょに遊ぶの 赤い子もいるし、向こうに黄色い子もいるね 海の中、綺麗だねえ お花畑。青い海。風の吹く草原。清らかなせせらぎ。森の中の湖。満天の星空…… 私は思いつく限りの美しい景色を言葉にしてささやき、娘たちにそこで遊ぶ姿を空想してもらう。 すると、そのうちに彼女たちはリラッ