スマホの上で指を滑らす。連絡先から、目的の人を選んで、電話をかける。交換機のことなんて意識しなくても電話はかかる。きっと誰もそんなこと意識してない。 自分のデバイスと相手のデバイスと電話回線の質を考える。どれくらいの角度で、どういう風にマイクに自分の声を入力するか。自分の声はどれくらいの高さ/低さで。どれくらいの大きさ/小ささで。 その音がA/D変換されて、まあパケットで分割されたりして(電話はパケット分割だっけ?)、回線通って、交換機を通って。相手が電話に出て。 相手の聴力と語彙と文法のレベルも考える。相手の「もしもし」の声を頼りに自分の声を決めてみる。トーマス・アルバ・エジソンとグラハム・ベルに感謝だな。電話の始まりなんて「Hello?」ってプロトコルでいいのだ。 こんなこと考えてない。考えずにできている(だろうか?)。 電話相手一人くらいなら、その辺のAIより満足度の高い通話を提供し