新型コロナウイルスの感染対策で、山梨県の長崎幸太郎知事はPCR検査の保健所への相談目安を国に先駆けて緩和し、休業協力の要請解除に向けた独自基準を策定するなど先手対応で取り組んできた。米疾病対策センター(CDC)のように感染症対策の司令塔となる「山梨版CDC」の設立も表明。新型コロナへの今後の対応について長崎知事に聞いた。――休業協力の要請を個別に解除する運用を進めています。「感染予防を徹底す
新型コロナウイルスなどの感染症危機管理の戦場は、国内だけではない。主要各国は、危機後の国際秩序を構想する特権的会合に有能な個人を送り込むことに加え、各政府も自らの利益にかなう国際秩序を構想・構築すべく、活発な外交活動を展開している。こうした中で、日本が自らの存在感を発揮するためにできることは何なのか。 戦後秩序を「構想」できる力があるか 前回(「国際機関の重要会議に日本人が入りにくい事情」)では、独立検証パネル(IPPPR)と国際保健規則(IHR)検証委員会の2つ会議が両輪となり、国際社会におけるこれまでの新型コロナ危機対応を検証し、感染症危機に関する新たな国際秩序を構想しており、そこには国際社会で認められた個人しか参画できないことを紹介した。 2つの会議が構想した戦後秩序の内容は、5月の世界保健機関(WHO)総会で提起され、加盟国により採択される見通しだが、拒否されることもありうる。すな
なぜ政府の経済対策はピントがズレているのか? 〈これまで政府が行う経済対策というのは、公共事業や助成金など、企業に対する支援が中心だった。こうした支援策は、製造業の輸出とそれに伴う設備投資によって経済を成長させる「輸出主導型経済」の時代にはうまく作用した。 ところが、今の日本は消費で経済を動かす「消費主導型経済」にシフトしており、従来型の経済対策は効果を発揮しにくい。 日本の経済構造が根本的に変化しているにもかかわらず、その現実が政府関係者に共有されておらず、結果として、立案される経済対策の多くがピントのズレたものとなっているのである〉 加谷珪一氏 安倍政権は、「経済政策の成果」を誇り、長期にわたって政権運営を続けてきた。とりわけアベノミクスは、大規模金融緩和で輸出企業に有利な「円安」を誘導し、大企業(輸出企業)中心の「財界」の支持も得てきた。ところが、そもそも「日本は『貿易立国』だ」とい
Image Credit : Pixabay ピックアップ:Crisis Innovation: 6 big trends that financial services can take advantage of right now ※こちらの記事の内容は PodcastとしてStand.fm又はSportify(以下埋め込みリンク)で聞くことも可能です。 21世紀に入って以降、我々は今回の新型コロナ危機を含め計3回に及び、金融市場のクラッシュを経験しています。記憶に新しいですが、一度目はドットコムバブルで、二度目がリーマンショックです。しかし今回のパンデミックによる経済危機には、過去二回の危機と決定的に異なる点があります。 それは、危機の要因が金融市場を発端としていない点です。思い返せば、ドットコムバブルは新興テック企業に対する過剰な投資、リーマンショックは金融システムの根本的な失敗を
世界中で都市封鎖や商業活動の停止、外出自粛が続くなか、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大と同じぐらい懸念されているのが経済的な打撃だ。 すでに損失は「リーマン超え」という見方が主流を占めるなか、知日派の経済アナリスト、イェスパー・コール氏は日本経済の未来は決して暗くないと、楽観的な分析を香港メディアに明かしている。 かつて、メリルリンチのチーフエコノミストやJPモルガンの株式調査部長を務め、現在は日本経済アナリストとして知られるイェスパー・コールは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が日本で鎮静化する予想図を前向きに描いている。 だが、コールは新型コロナウイルスの問題すべてに楽観的な見通しを立てているわけではない。日本以外の国々、とりわけアメリカの状況については慎重な姿勢を見せている。コールは東京でおこなわれた記者・金融専門家との対談で、日本経済の今後の動向に対
新型コロナウイルス感染拡大後の経営戦略を語るJTBの山北栄二郎社長=東京都品川区で2020年6月24日、竹内紀臣撮影 新型コロナウイルス感染拡大による急激な経済や社会の変化にどう対応すべきでしょうか。経営者や有識者に提言を聞きます。今回は新型コロナで大きな打撃を受けたJTBの山北栄二郎社長です。【聞き手は毎日新聞経済部・小坂剛志】 国内観光、年内に7~8割回復 新型コロナは、観光産業にとって経験したことのないインパクトとなった。旅行会社は戦争や感染症、災害の影響を受けやすいが、多くは局地的なもので、行き先を変えるなどの対応を取れた。しかし、今回は世界全体が影響を受けている。JTBはコロナの影響で3月末までに売上高で1000億円、営業利益で150億円を失った。4~6月期のマイナスも大きい。 ただ国内旅行は、移動自粛が全面解除された6月19日で潮目が変わった。近場の旅行がかなりの勢いで戻りつつ
新型コロナウイルスによる影響を受け、企業は経営戦略の見直しが迫られている。世界を代表するコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー陣に緊急寄稿してもらう本連載第3回では、「モビリティ」をテーマにする。感染症予防の視点から、消費者の安全に対する意識が大きく変化している。これらの変化はモビリティ産業に甚大な影響を与えるとともに、既存のプレイヤーに破壊的変化を迫っていくだろう。 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は既存のモビリティ産業のディスラプションを加速するのか」。マッキンゼー・センター・フォー・フューチャー・モビリティとして、この問いに答えるべく、可能な限りファクトベースでモビリティ産業の現状を分析し、各国の政府・企業と活発な議論を行ってきている。結論を出すのは時期尚早ではあるものの、本稿では、現在見えつつある変化、そしてその意味合いについて考察した
4月2日、韓国ではいよいよ総選挙に突入した。「2枚の布マスク」を巡って騒然とするツイッターランドに日本語でそのことを書いたら、すぐに反応をいただいた。 【驚き】 「韓国が嫌いな日本人」を世界はどう見ているのか 「え、韓国は選挙を実施するんですか?」 「するでしょう。どうしてですか?」 「こんな状況だし、延期の提案は出ていないんですか?」 ああ、なるほど。この方は新型コロナウィルスのことを心配しているのだ。日本では2枚の布マスクや、自粛の呼びかけで社会が騒然としており、今、選挙となったら延期案も出るのでは? という理解なのだろう。 韓国の場合、もうその段階は通り過ぎた。少なくともマスク問題は解決し、今は週に1人に2枚の「公的供給マスク」のほか、市中でも普通に高性能マスクが売られるようになっている。 在韓日本人の中には、日本の状況を心配する人も多い。 「日本の両親に送ってあげたいけど、今は郵便
フランスでは、新型コロナウイルスの流行が続く中、葬儀業者らが悲しみに沈む家族のケアとスタッフの安全確保の両立に苦慮している。 フランスの葬儀社チェーン、ポンプ・フュネブル・ド・フランス(Pompes Funebres de France)のサンドリーヌ・ティエフィーヌ最高経営責任者(CEO)は「遺族にとって今最も辛いのは、通常のやり方で死者を弔い、送り出せないこと」と言う。 同業界で30年近くの経験を持つティエフィーヌによると、新型コロナウイルスによる死者の多くは、遺体が直ちに密閉したひつぎに入れられ、家族と対面できない状態になるのだという。これは「非常につらい」状況だとティエフィーヌは語った。 先月24日には当局が規制を緩和し、新型コロナウイルスの犠牲者を直ちに埋葬する必要がなくなったため、遺族らは一定の距離を保ってなら最期の対面ができるようになった。 4月の頭には、葬儀業者の感染防止に
人が東京に来なくなった。仕事があってもコロナの恐怖が勝ってしまうためだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA ● 感染拡大に怖れを募らせ 東京から人口が流出中 コロナ禍で東京に移り住む人が軒並み減り始めている。5月の都区部の日本人転入超過人口(転入者数から転出者数を差し引いた数)は、対前月比で747人のマイナスになった。転出超過になるのは、東日本大震災後以来9年ぶりのことだ。5月は毎年、5番目に流入が多い月で、過去4年は安定して平均3716人のプラスだった。それが単月で約4500人減少し、マイナス圏に入ったことになる。 通常、年度始めの3月の流入が最も多く、過去4年は安定して3万2332人が流入していた。緊急事態宣言の発出前だったこともあり、今年は3万4465人と例年以上だった。これは、新年度の流入の多くが大卒の就職組であるためで、内定はすでに1年近く前にもらっているので、予定通り
ヨーロッパを襲うコロナ危機 欧州はコロナ危機で大揺れだ。 3月30日の時点で欧州の新型コロナウイルスの感染者数は39万3285人、死者数は2万3966人を記録している(WHO発表)。 アンゲラ・メルケル首相は3月12日に「ドイツ市民の60~70%が遅かれ早かれウイルスに感染する可能性がある」という悲観的な見方を打ち出した。 EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は3月13日に、迫り来るコロナ不況を「欧州が第二次世界大戦後に経験する最も深刻な経済危機の一つ」と呼んだ。 コロナ危機は市民の生命と健康だけではなく、欧州経済を氷河期に追い込みつつある。サプライチェーンの寸断、受注額と国内消費の減退、国境封鎖やイベントの中止などによって、不況の暗雲が欧州人たちの頭上を覆いつつあるのだ。 ポピュリスト勢力が拡大中 だが欧州はもう一つの病原体に汚染されつつある。新型コロナウイルス同様に封じ込めが困
ソープランドなどに休業要請 「東京都における緊急事態措置等」として4月10日に発表された「基本的に休止を要請する施設」のなかに、役所の文書とは思えない職種が並んでいた。 個室付浴場業に係わる公衆浴場、ヌードスタジオ、のぞき劇場……。 個室付浴場業……とは、女性が男性にお風呂付きの個室で性的サービスをするソープランドのことであり、ヌードスタジオは女性が男性にスタジオ風個室で裸を披露、のぞき劇場とは女性の自慰行為などを男性客がそのまわりを取り囲んだ部屋でのぞくもので通称「のぞき部屋」である。 マスメディアでは「性風俗店」とまとめられており、確かにそこまで細かく規定する必要はなさそうだが、50万から100万円の休業協力金が絡むだけに、細かく分類する必要があったのだろう。 その背景には、休業要請事業者の公表を巡って、緊急事態宣言を早く出してコロナウイルスの爆発的感染に備えたい小池百合子東京都知事と
2020年10月11日 田中 宇 世界的なコロナ危機の特徴の一つは、米欧先進諸国と、発展途上諸国(非米諸国)のコロナ政策が大きく異なっていることだ。先進諸国の多くは、コロナ対策として厳しい都市閉鎖を行ってきた。人々は外出制限や社会距離を強要され、経済活動が大幅に減退して先進諸国はどこも大不況になっている。都市閉鎖は、コロナ対策として効率が非常に悪い。ほとんど効果がない。各国で新型コロナの陽性者や発症者が4月ごろに比べて減っているのは都市閉鎖の成果でなく、他の要因(状況が集団免疫に近づいているからとか、感染を繰り返すうちにコロナの重篤性が低下したとか)によるものだ。都市閉鎖がコロナ対策として効果がないと思える根拠の一つは、季節性インフルエンザの感染者が減っていないことだ。都市閉鎖が新型コロナ対策として有効なら、コロナだけでなく似たような感染のしかたをするインフルエンザの罹患者減るはずだ。だが
コロナ危機で露呈した「近代の終焉」、クリエイティブな人々が直面する難題 音楽学者が語る「コロナの時代の音楽」 新型コロナウイルスのパンデミックによって、世界中の音楽イベントが中止に追い込まれ、文字通り街から音楽が"消える"事態が長く続いた。 徐々に再開の兆しが見え始めているものの、かつての活況にはほど遠い。演奏機会が激減した音楽家、解散を迫られるオーケストラ、コンサートホールやライブハウスの廃業……状況はひっ迫するばかりだ。 一方で、YouTubeやSpotify、Apple Musicなどに代表されるストリーミング・サービスの普及によって、膨大な録音コンテンツを好きなだけ聴けるようになり、「サブスクリプション疲れ」という言葉も出回りはじめた。 同時進行する"音楽の危機"と"音楽の氾濫"――。歴史的にも例のないコロナ禍の状況は、音楽という文化にどのような影響を与えるのか。新刊『音楽の危機』
リーマン・ショック以来の大幅下落 FRBがゼロ金利政策と量的緩和政策の復活を決めたことを皮切りに各国の中央銀行が一斉に利下げや金融緩和に動き、日米の現金給付を筆頭に世界の主要国が経済刺激策を相次いで打ち出すのを嘲笑うように、先週(16日~20日)の世界の株式市場は大幅下落となった。 特にここ数年世界の株式市場を牽引してきた米国NYダウの週間下落率は▲17.3%と、リーマン・ショック直後の2008年10月以来の大幅下落となった。 こうした株式市場の動きは、各国中央銀行と政府が矢継ぎ早に繰り出す政策が、金融市場が期待する内容ではないことを印象付けるものだ。 各国の政策当局は新型コロナウイルス感染拡大防止と経済のバランスをどのようにとるかに腐心している。コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには移動制限や外出禁止など人の動きを止めることが不可欠になるが、それによって経済に大きな打撃を与えることも不可
昔から人類の歴史の中で、疫病の後には戦争、そして飢饉が来るというパターンは幾度となく繰り返されてきたわけですが、どうやら21世紀に入ってもそれは変わらないことになりそうです。 ▼小麦価格の記録的な高騰 大手肥料メーカーのヤラ・インターナショナルは、ロシアのウクライナ侵攻によって世界的な食糧供給が危うい状態だと警告しています。 ウクライナとロシアは合計で世界の小麦輸出の約29%、トウモロコシ輸出の19%、ひまわり油輸出の80%を占めている。 それだけでなくロシアは窒素肥料の生産に不可欠な天然ガスや原料も輸出。ヤラによると、窒素とカリ、リン酸という肥料の3大原料は欧州向けの25%がロシアから供給されている。 出典短期的に見ると、ヨーロッパでの食糧生産に使われる原材料をまかなう調達源はなく、世界の最も恵まれた人々しか十分な食糧を得られなくなる可能性があるというのです。 小麦価格が歴史上の最高値に
Forbes JAPAN本誌の人気連載「深き思索、静かな気づき」を執筆する田坂広志が、世界経済フォーラムのアジェンダに寄稿した記事をご紹介します。 コロナ危機は、これから人類社会に、いかなる変化をもたらすのか? それは、何か全く新しい変化をもたらすわけではない。 コロナ危機は、これまで人類社会に求められていたさまざまな変化と変革を加速することになる。特に、この危機は「第4次産業革命」を大きく加速することになるだろう。なぜなら、コロナ危機が人類社会に求めるのは、人の「空間移動」と「相互接触」を最低限に減らし、感染の拡大を抑えることだからである。その結果、「非接触技術」(Contactless Technology)と呼ばれるものが、これから大きく社会に広がっていく。 具体的には、オンライン会議や仮想現実(VR、AR)の技術、ロボティックスや人工知能(AI)の技術、ドローンや自動運転の技術、総
新型コロナウイルス 感染の抑え込みで、台湾の強さが世界的に注目されている。台湾はなぜコロナに強いのか。日本との比較を中心に考察してみたい。 【写真】 日本と韓国、こんなにコロナ対策は違うの!? まず第一に、中国語による情報獲得の強さが挙げられる。中国政府は当初、新型ウイルスの発生に関する情報を出し渋ったが、武漢市、湖北省から、SNSなどを通じて個人による外部への情報発信は行われていた。そうした中国語による情報をリアルタイムで受け取っていたのが、台湾、香港などの中国語圏だ。結果的に、台湾、マカオ、シンガポールといった中国語圏で、ウイルスに対する封じ込めが最も早く起動した。 対する日本では政府、マスメディアとも、中国語による情報を日常的に受信し、分析する人材が圧倒的に不足している。公衆衛生を含めた安全保障の観点からしても、せめてCNNやBBCを日々チェックするのと同じレベルで、中国語メディアに
新型コロナウイルスが経済や教育現場に大きな影響を与える中、“過激派”と呼ばれる団体の活動も活発になっている。「コロナ危機を革命へ」。中核派の機関紙が、こんな過激な見出しで論評を載せた。YouTubeでも積極的に発信するが、現代の日本で革命の可能性は、どれほどあるのだろうか? “3密”に注意しながらデモを続けているという活動家の声、そして、専門家の分析から考えてみた。(北林慎也) 【写真】公然拠点「前進社」のDIY手洗い場と座席間隔を空けた食堂 「貧困層に被害が集中」中核派が発行する機関紙「前進」。 4月27日付の1面に、大ぶりの横カットでこんな見出しが踊った。 「コロナ危機を革命へ」 世界規模で感染が広がり、経済活動にも深刻なダメージを与える新型コロナウイルスの余波について論評している。 この中で中核派は、日本を始めとする「帝国主義」「資本主義」体制において、「最も深刻な被害は戦争と同じく
子どもSOS電話が増加中 フランスでは休校と同時期に外出禁止令が出て、外出時には(外出理由の)証明書の持参が義務付けられ警察が見回りをするようになった。 そんな中、外出禁止期間初となる虐待死が出てしまった。加害者である父親によると、6歳の息子が学校に忘れて来た書類があると言ったため、息子の頰を3回叩いたところバランスを崩しサイドテーブルに頭をぶつけ亡くなった。外出禁止期間中の家族のストレスが弱者である女性や子どもに向けられていると各メディアは報じている。 フランスの子どもSOS電話も案件が20%増えているそうで、ニュースやSNS上で頻繁に子どもSOS番号の情報を流すキャンペーンを展開している。 「大人があなたにこんなことをしたら、あなたはあぶない状態にいます。 - 怖がらせる - たたく - バカにする - 体を触り、あなたにとって嫌な感じがする または他の子どもが嫌な思いをしていると感じ
コロナ給付金「10万円」、返すのもまた「国民」… 安倍政権が収入減少世帯に対して30万円の支給を行う方針に対して、多数の非難の声が上がっていた。 確かに、マイナンバーカードが普及していない日本で「自己申告」の内容をどのように確認するのかとか、30万円をもらえる人ともらえない人との線引きが難しいという問題点があった。もし線引きされた結果ギリギリでもらえなかった場合の落胆も大きかったはずだ。しかしそれでも、「本当に必要な人に限定して支給」するという考えは妥当であったと思う。 ところが突如方針を転換して、収入減少世帯への支給をやめて、全国民に一律に10万円を配布することになったと伝えられている。もちろん、私も含めた全国民は「一律10万円」をもらえるのはうれしいし、公平なような感じもする。 しかし実は、この10万円を「貰う」と表現するのは正確ではない。我々が支払った税金の「払い戻し」あるいは、「貸
リーマン後の円高は日銀の失敗だった 2008年から09年にかけて、世界経済は未曽有の金融危機、リーマン危機に襲われた。米英で多くの人々がサブプライム・ローンで持ち家を買えるようになったのはよかったが、返済困難も増えて住宅ローン債権の流動化を目的として証券化されたサブプライム・モーゲージの価格が急落し不良債権化、リーマン・ブラザーズ社は破産するに至る。 米国連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行等は、なりふり構わず抵当証券を通貨で買い取ることでこの危機を乗り切ろうとした。このことはとりもなおさず、米英の中央銀行は大幅の通貨供給を「量的拡大政策」として行ったことになる。 さて、日本ではサブプライム・モーゲージはなく、金融市場は平常通り機能していた。したがって、リーマン危機は日本経済にとって「蜂に刺されたようなもの」という、当時の与謝野馨経済財政担当相の言葉も違和感なく受け止められたので
<世界各地の反政府組織はコロナ禍を利用して、自らを正当化し政府を批判するが、被害を受けるのは支配地域の住民だ> アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンがネット上で珍しい動画を公開した。よくある戦闘員の「勇姿」ではなく、マスクを着けた彼らが住民の家を訪れ、体温の測定や消毒液の配布をしている姿だ。英語のナレーションによれば、タリバンは既に新型コロナウイルスの爆発的な感染を抑え込んでおり、感染予防の情報班を結成し、診療所や隔離施設も用意している。 それだけではない。タリバンは中東地域で最も感染者の多いイランからの帰国者に対し、2週間の自宅待機を命じていた。まだアフガニスタン政府が、毎日1万5000人も通過する対イラン国境でほとんど何の規制も行っていなかった時期の話である。 反政府勢力が体制側の弱みや危機に付け込むのは毎度のこと。テロ対策の専門家デービッド・キルカランに言わせれば、危機対応で政府よ
世界銀行調査部の元首席エコノミストで欧州出身の米経済学者、『大不平等――エレファントカーブが予測する未来』(みすず書房)の著者でもあるブランコ・ミラノヴィッチ氏。photo by Alexander P. Englert 「まるで、ハイパーインフレさながらだ」 世界銀行調査部の元首席エコノミストで欧州出身の米経済学者、『大不平等――エレファントカーブが予測する未来』(みすず書房)の著者でもあるブランコ・ミラノヴィッチ氏は、米国における新型コロナウイルス感染症の急拡大をこう表現する。 同氏は現在、ニューヨーク市立大学大学院センターの客員教授(格差・所得分配が専門)などを務め、昨秋には、新刊『Capitalism, Alone: The Future of the System That Rules the World』(『残ったのは資本主義のみ――世界を制するシステムの未来』未邦訳)を上梓。
<日本企業が何年も放置してきた課題がコロナ禍で顕在化──今こそ生産性向上と復活を果たすべきときだ。本誌「コロナで変わる 日本的経営」特集より> ※日本的経営の7つの課題を指摘する加谷珪一氏によるコラムを2回に分けて掲載します。 【後半はこちら】日本的経営の「永遠の課題」を克服すれば、経済復活への道が開ける 新型コロナウイルス危機は、いわゆる日本的経営が抱える問題点を浮き彫りにした。バブル崩壊以降、30年にわたって世界で日本だけが成長から取り残されてしまったが、最大の理由は、安価な工業製品を大量生産する昭和型モデルから脱却できず、ビジネスのIT化やオープン化といったパラダイムシフトに対応できなかったことにある。 ペストやスペイン風邪の歴史からも分かるように、感染症の流行は変化のスピードを加速させる作用を持っており、コロナ危機によって、10年かかると思われていた変化が3~4年で実現する可能性も
5月12日から自動車メーカーの決算発表が始まった。トップバッターはトヨタ自働車で、続いてホンダだった。28日には日産自動車が決算と中期経営改革の見直しを発表する予定だ。 トヨタは豊田章男社長、ホンダは八郷隆弘社長がリモート会見に臨み、「コロナ危機」への対応などについて語った。本稿では主に、両社が「コロナ危機」後の動きをどう見ているのかについて触れていく。 トヨタ「この局面では見通しは随時変わる」 新型コロナウイルス感染症の影響が今後どれほど出てくるのかという点で、2021年3月期決算の業績見通しがどうなるのかが注目された。見通しをトヨタは開示し、ホンダは見送った。 トヨタは21年3月期に営業利益が前期比8割減の5000億円になる見通し。連結販売台数(出荷台数)が22%減少の895万台から700万台に落ち込むことを前提に利益予想をはじき出した。ただ、「このような局面では随時見通しは変わる」(
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2020年3月14日、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法が施行された。これにより、今回の新型コロナウイルスでも、新型インフルエンザと同様に、いわゆる非常事態(emergency)を設定する「緊急事態宣言」ができることとなっている。 この特措法改正に伴う14日夕方の安倍晋三首相の記者会見では、「現時点で緊急事態を宣言する状況ではない」と説明されたが、いまもなお国内感染者は増え続けており、さらには欧米で急速に増大した感染が、中国にかわる第二波として我が国に入り込んでくる可能性も指摘されていて、事態はなおも予断を許さない。 だがこの用意された緊急事態宣言については、「劇薬」として、多くの識者がその実施に警戒感を示している。 他方でまた、私たちには、どこかでこの新型コロナウイルスについて、事態を乗り越えるのには宣言こそが不可欠なのだと思い込んでいるふしもある。この経験が今後の憲法改正の布石
2008年金融危機をベストセラーの著書「ブラック・スワン」で予測したナシーム・タレブ氏は、新型コロナウイルス感染拡大危機で打撃を被った投資家について、予見可能なリスクを無視した報いを受けていると主張した。 ニューヨーク大学タンドン・スクール・オブ・エンジニアリングで教授(リスクエンジニアリング)を務めるタレブ氏は30日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「保険で最悪の対応は、タイミングを計ろうとすることだ。テール保険がなければ、ポートフォリオは持てない。そのポートフォリオは破綻するだろう」と語った。 発生する可能性は低いが実際に起きれば壊滅的な被害をもたらすブラック・スワンにコロナ危機が該当するかについては、「われわれは複数のブラック・スワンを経験し、(01年)9月11日の米同時テロは間違いなくブラック・スワンだが、今回はホワイト・スワンだった」と指摘。パンデミック(世界的大流
<WHOのパンデミック宣言と同時に、欧州からの入国禁止発表やNBA中断、有名人のウイルス感染など、衝撃ニュースのドミノ倒しが> アメリカでも、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大に対する不安が高まっている。これまでに、ワシントン州で24人、カリフォルニア州で3人、フロリダ州で2人、そしてニュージャージー州とサウスダコタ州でそれぞれ1人の死亡が確認され、全米での死者数は31人に達した。 【動画】豪スーパーでトイレットペーパーの奪い合い 米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長で、ドナルド・トランプ大統領が立ち上げた新型コロナウイルス封じ込めのための専門家チーム(タスクフォース)の一員でもあるアンソニー・ファウチ博士は、事態は今後さらに悪化すると警告した。「もし我々が無頓着で徹底的な封じ込めと緩和策をとらなければ感染者は急増し、数百万人にも達するだろう」と、11日の下院監
コロナ危機、NY「死者激減」のウラに「新しい仕事」の存在があった…! 「トレーサー」という仕事をご存知ですか? コロナ第2波、打つ手は国民頼み? 東京・大阪・名古屋、日本中の巨大都市で、感染者数が急増し、1日の感染者数はとうとう1000人を超えた。緊急事態宣言時よりはるかに多い新規感染者を抱えながら、「切り札」といえる対応が見えないまま、不安な日々を過ごしている人も多いのではないだろうか? 感染者数が増えるなか、はじまったGO TOキャンペーン。国民に丸投げにされたかに見えるコロナ対策。経済成長率はマイナス4%台半ばの見通しが発表され、うっすらと将来に不安を感じている人も多い。 コロナには打つ手がない、いつコロナ禍が爆発するかわからない、自分の仕事、大丈夫かな? こんな逆境のなか、実はどんどん新しい仕事が生まれているのをご存じだろうか? 医療崩壊を迎え、都市封鎖など、連日、最悪の状況を報道
このところ、ジョギングする人だけでなく、手をつないで歩く男女のカップルも街中に増えたと感じることはないだろうか。若年層だけでなく、中高年の男女カップルも手をつないで仲睦まじく歩道を歩いている。 【写真】このままでは、コロナ自粛は「国民が勝手にやったこと」にされてしまう… 新型コロナウィルスの流行が収束の気配を見せない現在、繁華街に出かけることができないのだから近所を散歩でも、という人が多いのは十分に理解できる。人と人の物理的な接触に現在の私たちがかなり注意を払っているからこそ、手をつなぐという行為がいつも以上に目につくということもあるだろう。 「三密」を避けるとか、他人と距離を空けてジョギングするとか、人と人が物理的に遠ざかるよう私たちの多くはけっこうな努力をしている。そうやって努力をしている私たちのなかには、他人が自分と同じように努力をしていないのを見るとつい非難したくなってしまう人もい
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