マジックに関する知的財産権の問題が近年話題にのぼるようになって久しくなりました。ところがこの分野の間口は広く、また法律的な是非の議論とモラルの話が混在する傾向があるため、いまだに同じような議論が繰り返されているようです。翻訳問題に限っても例外ではありません。国をまたぐ問題ですから条約と国毎の法律の建付けの知識も必要ですし、その法律自体も時代とともに改定されているので、一個人の思い込みで断じてしまうと、むしろそれが国際的な誤解につながるという弊害さえ生じます。 そこで、海外の著作物を翻訳することに関して知っておくべきことを解説することを目的として、前回は『海外のマジック解説本の翻訳に際しての注意点(その1:著作権条約の基礎知識)』を説明しました。今回はそれに引き続き、最も関心の高い「翻訳」の問題について説明します。 専門の翻訳者による初期の日本語訳 マジックに関する一般的な著作であれば、翻訳