しゃべるステーシー ――モモと有田 大槻ケンヂ著『ステーシー 少女ゾンビ再殺談』の首胴尾の胴体部分をなす「ステーシーの美術」は、全寮制女子美術学園の廃墟化した体育館や校庭で、13体の動く屍少女=ステーシーをロメロ再殺部隊が次々に切り刻む血祭りの場であり、一体のステーシー・モモに殺戮のすべてを見られているのでは? というおののきの感覚以外、物語が大きく展開するわけでもない。部隊は退去命令をひたすら待っていて、いわば救いのない失楽園に閉じこめられている。モーニング娘。による舞台版はいろんな制約から、きっとここを適当にはしょってモモの挿話だけを序章と終章をつなぐブリッジにするのかな、くらいにわたしはたかをくくっていた。ところが、この「モモと有田」の章こそが、「歌劇」の命脈となる肉厚の胴体部分を形づくっていて、心から驚きかつ魅了された。山奥の学園の阿鼻叫喚をブラックユーモアと詩情をこめてショーアッ