紹介 近現代ギリシア文学を代表する作家・思想家ニコス・カザンザキス。国内外で高い評価を受ける一方で、国内では「ギリシア的な作家」として見なされることの少ないカザンザキスは、しかし、祖国であるギリシアを、そしてギリシア人の特性を探求し続けた。「西欧文明の祖」としてのギリシア観を脱し、ロシアや中国、日本での「東方」経験をへて、カザンザキスが見出すにいたったギリシア・ギリシア人像とは―― 目次 序論 第一部 ニコス・カザンザキスに至るギリシア思想史、文学史の背景 第一章 古代ギリシアから近代・オスマン統治期に至るギリシア意識の概観 第二章 近現代ギリシア啓蒙主義と民族意識の形成 第三章 一九世紀後半におけるギリシアの東方性への着目と反西欧主義 第二部 ニコス・カザンザキス 第四章 青年期のカザンザキスのナショナリズムと政治活動 第五章 独墺期におけるカザンザキスの脱ナショナリズムと脱西