大きな買い物をするのが苦手だった。高価なブランド品にはあまり興味がないし、高額な海外旅行も行ったことがない。身近なブランド、安宿を回るチープな一人旅。それでも十分楽しんでいた。自分の身の丈にあった金額で、できる範囲で買えるもので満足していた20代だった。 そんな20代だったので、友人の結婚式にも、ファッションビルで手に入るような手頃なフォーマルドレスで参加していた。当時はまだ友人たちの手前、いつも同じドレスで参加するわけにはいかない、という自分ルールに囚われていた。 いま思うと変な見栄の張り合いだったのだが、それでも毎回違うドレスで参加してくる友人たちの中、同じワンピースで記念写真に収まるのは、なんとも気恥ずかしいものがあった。なので友人の結婚式のたび、同じようなファッションビルに駆け込み、及第点、と思えるフォーマル服を購入していた。 あるとき、和装の女性と同席したことがあった。年齢はかな