インタビュー・テキスト by 矢部紗耶香 撮影:西邑匡弘 編集:井戸沼紀美(CINRA.NET編集部) 取材協力:都夏、水蓮 毎年1000本以上の映画が劇場公開され、Netflixなどのサブスクリプションサービスでも、オリジナルの映像作品が次々に公開される現在。自主映画から商業映画まで、さまざまな規模や形で映画が生まれ続けているのには、どんな理由があるのだろう。人はなぜ、数多ある表現方法の中から、脚本、美術、演技、照明……と数え切れないハードルが立ちはだかり、お金もかかる映画づくりを選び続けるのだろう。 これまでに黒沢清、熊切和嘉らを輩出した自主映画の登竜門『PFFアワード』で昨年グランプリを獲得した『おばけ』には、人からの評価を受けなくても、借金をしても、家族からの愛想を尽かされても、信念を持って自分の映画を作り続けようとする中尾広道監督自身の姿が映し出されている。一方『街の上で』は、『