SUGAR GIRL ヤマシタトモコ 「お昼行きませんか?」 白ウサギのような彼女からの誘いは特別なごはんのお誘いでーー。
漫画、小説、映画やドラマ──さまざまな「物語」が私たちの日常を彩り、ときに新たな気づきを与えてくれたり、ときに怒りの原動力となったり、その存在は多くの人にとって欠かせないだろう。 現代日本文学を中心に、クィア批評とトラウマ研究をしている岩川ありささん。2022年に刊行した『物語とトラウマ: クィア・フェミニズム批評の可能性』(青土社)で「トラウマ的な出来事を経験した人びとにとって、文学や文化は生きのびるための表現となりうるのか」という問いから現代小説を丁寧に読み解き、物語の必要性について切実な言葉で語る。 「物語に居場所を見つける」「物語に救われる」という感覚──ヤマシタトモコさんによる漫画『違国日記』(FEEL COMICS swing、祥伝社)でも、物語の力を信じる少女小説家と彼女らから言葉を受け取る少女たちが描かれる。 今回はそんなふたりを迎えて「物語が持つ力」をテーマに対談を実施。
恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表の清田隆之と、『みんなの恋愛映画100選』(オークラ出版)の選者も務め、人から話を聞くことを専門とするライターの小川知子が、さまざまなフィールドで活躍する方々と「ことば」について多角的に考えていく連載。今回は『違国日記』がついに完結を迎え、映画化も決定した漫画家のヤマシタトモコさんと「ことば」について語り合いました。 清田隆之(以下清田) 我々はこの連載で、ことばのむずかしさというか、ざっくりしたことばで表現してしまうけど、その内訳を因数分解してみるともっと細かなニュアンスが含まれているのではないか──といった問題についておしゃべりしながら考えているのですが、ヤマシタさんの漫画、特に『違国日記』はここで考えてきたこととつながる部分が多いと僭越ながら感じていて、いつも楽しみに拝読していました。 小川知子(以下小川) 35歳の少女小説家である槙生(まきお)さ
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