「俺んちにある青山の荷物、どうしたら良い」 昼休憩、トイレに行った帰りの花音(かのん)に話しかけてきたのは無駄に背が高く、目つきの鋭い愛想のない、でも顔はモデル並みに良い同期。数週間前まで付き合ってた元彼、葛城蓮(かつらぎれん)。花音から一方的に別れを切り出して以来会社でも避けていたので急に話しかけられて、「なんで話しかけてくるんだ」と露骨に顔に出てしまったが葛城の顔は無。安心すれば良いのか何考えてるか分からなくて不安がれば良いのか。 数年付き合ってても彼の考えてること読み取るのは簡単では無い。だが葛城の話の内容を無視することも出来ず、花音は立ち止まる。 「荷物…私の方にもあるよそっちの荷物」 数年付き合っていたので互いの部屋に自分の私物を持ち込んでいた。別れた後葛城の私物を整理するべきだと頭では分かっていたが、どうにもやる気が起きずに放置していたのだ。後回しにしていた問題を葛城は突きつけ