今小川幸司先生の『世界史との対話』という本を読んでいます。この本は上中下に分かれており大部になっているのですが、私が巡回している大学教授や高校教師の先生方からかなりの高評価を得ています。とくに上巻巻末には著者が『歴史学研究』に発表した論文「苦役への道は世界史教師によってしきつめられている」を再掲しており(本書では改題「世界史教育のありかたを考える」)、著者はまずこちらを読んでもらいたいと書いています。この論文の問題提起が多くの先生方を動かしておりますので、本の感想文を書く前にこの論文についての概略と私の簡単な(論点のずれた?)意見をまとめたいと思います。 まず著者は「高校世界史は、高校生からも社会人一般からも“嫌われている”科目であり、その意義に共感してもらうことに“失敗”してきた科目」であると「はっきりと認識すべき」といています。その原因として「現状の高校世界史は、せかいのさまざまな地域