60代70代の人たちが子どものころ、バナナは憧れの果物だった。一般家庭では手の出ない高価な食べ物だった。 遠足のお昼時、リュックサックからバナナを取り出す生徒がいようものならクラスメートは取り囲み、口元を羨望の視線で見つめたものである。バナナを食べられる子どもはお金持ちの子どもに限られていた。 田中節三さんも少年時代、何とかしてバナナを腹いっぱい食べてみたいと思いながら育った世代である。その少年の夢を40年間追い続け、ついに奇跡の発見を成し遂げたのだった。(本誌:菅原歓一) ※この記事は、地域づくり情報誌『かがり火』180号(2018年4月25日発行)掲載の内容に、若干の修正を加えたものです。 1本632円の高級バナナはすぐ売り切れる 岡山市南区にある農業法人株式会社D&Tファームには、連日視察者が絶えない。何しろここではバナナだけでなく、パパイヤ、マンゴー、グアバ、コーヒー、パッションフ