延命治療という言葉は、一般に「何らかの治療行為を行わなければ死に至るはずのものを、生きながらえさせるための治療」という意味で使われる。それは人工呼吸器や補助循環に止まらず、終末期には輸液管理や栄養管理が含まれることも多い。【1】 本人が希望する終末期ケアを受けるためには、事前に意思表示をしておくことが前提になる。 厚生労働省『平成29年度 人生の最終段階における医療に関する意識調査結果』【2】によれば、「人生の最終段階における医療について家族と話し合いをしたことがある割合」は一般国民で42.2%、実際に「事前指示書」を作成している一般国民は3.2%にとどまる。これでは、希望する終末期ケアを受けることは難しい。 患者が希望しない延命治療 厚生労働省が2014年にまとめた『人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書』は、疾病別の延命治療の希望割合を示している。(図1)【3】 末期がんでは