浦和の伊勢丹を歩いていたら、ぱっと目に飛び込んできたのは 懐かしい絵。 イバラードの世界 井上直久版画展 用事もそこそこに、7階の美術画廊に足を早めていた。 まだ小学生のときのこと。 母が一冊の画集を買って帰って来た。 仕事の帰りに、ギャラリーの前を通ったら 個展をしていて、その絵があまりに美しかったから 私にも見せたくなって買ってきたのだという。 それは見たこともないほど不思議な絵だった。 ファンタジックだけど、どこか現実とも繋がっている。 深い青、雲の虹色に惹きこまれる。 海のようで、地上のようで、空のような空間。 神秘的な女性が歩いていて、少女が宙を飛ぶ。 商店街には小惑星やラピュタの卵や、見たこともない夢のかけらのようなものが 並んでいる。 「上昇気流」(1990年)<イバラード博物誌> 私は、そのとき、退院したばかりだった。 まだ体調が悪くて、あまり起き上がれなかったけれど、 ベ