タイトルから想像した内容とは違ったが、興味深い本だった。『従軍慰安婦と公娼制度――従軍慰安婦問題再論』(共栄書房)。いわゆる従軍慰安婦問題を正面から扱っているのかと思ったら、そうではなかった。明治期から戦前までの海外における「日本人売春婦」の問題が軸になっている。たまたま同社の別の本を調べていて見つけた。10年前の刊行だが、あまり見慣れない情報やデータが掲載されていて、新鮮な驚きがあった。 「阿片」や「からゆきさん」 著者の倉橋正直さんは1943年生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(東洋史学)修了。愛知県立大学名誉教授。 著書に『日本の阿片戦略――隠された国家犯罪』『阿片帝国・日本』『日本の阿片王――二反長音蔵とその時代』など阿片関係のほか、『北のからゆきさん』『島原のからゆきさん 奇僧・広田言証と大師堂』などがある。すでに1994年に『従軍慰安婦問