鹿児島県警の内部情報を漏らしたとして、前生活安全部長(60)が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された事件を巡り、県警の対応を疑問視する声が上がっている。情報漏えいではなく公益通報に当たるのではないかという指摘と、ウェブメディアへの強制捜査によって“証拠”を確認したとする捜査手法への批判だ。識者に見解を聞いた。 ■内部通報できない組織の機能不全露呈 日野勝吾淑徳大教授 県警の前生活安全部長が個人情報を含む内部文書を記者に郵送した行動が、公益通報に当たるのかどうかが議論になっている。今回の事件では、現行法の下では通報者が保護されるにはハードルが高いことや、県警の自浄作用のなさが改めて浮き彫りになった。 まず、公益通報の対象となるには、通報内容が法に抵触する事案であることが一つの要件だ。客観的な事実が明らかになっていない現時点では、前部長が主張する、野川明輝本部長の隠蔽(いんぺい)指示が