「幽霊画」と聞くとどんな絵を想像するだろうか。 幽霊画といってもさまざまで、幽霊の姿を単独で描いたもの、歌舞伎の舞台などで演じられる芝居絵、物語(文学)に登場する幽霊を描いたものもある。なかには、一見すると風景画のようだが、よく見ると幽霊の姿が描かれているなんてものもあって、興味は尽きない。 そのほとんどが、肌の透けるほど薄い着物を着ていて、悲しくあきらめきったような顔、うつろな眼差し、そして多くは足が描かれない。なぜだろう? 異界をたずねて歩く 幽霊画を鑑賞するということ―それはつまり、得体の知れない仄暗い異界をのぞき見ることだ。 現世で生活する私たち生者は、あの世について、冥界から戻り現れた幽霊たちを通して知ることしかできない。神社の家系に生まれた私は神仏として信仰されていたり、土地の人々に慕われている対象によく会いにいくのだが、幽霊画もそのひとつだ。 例えば、東北地方には異界との交流