いまから20年ほど前のこと。『短歌ヴァーサス』第6号(2004.12)には「ネット短歌はだめなのか?」という特集が掲載されました。私は当時小学生だったので、特集当時の感想や雰囲気などは知りません。しかし国会図書館でアーカイブをめくると、当時の掲示板歌会やメーリングリスト歌会の盛り上がりと、誌面中心の歌壇との緊張関係を垣間見ることができます。 この特集自体は、インターネット上で展開されている短歌の活動を分析し、その可能性と問題点を探る優れたものでした。特集前年の2003年には題詠マラソン(※1)が初開催され、ネット上の短歌の世界は活況を見せていました。同時にネット短歌は96年ごろから始まったものでもあり、当時はネット短歌が固有の歴史を持ちはじめた時期でもあります。 これに先立つ歌壇での動きとしては、角川『短歌』が2002年2月号に座談会「インターネットは短歌を変えるか」、2003年8月号に特