浮世絵にはいろいろな動物たちが登場します。キツネは以前にご紹介しましたが、他にもネコやイヌを筆頭に、哺乳類から鳥類、爬虫類、魚類と、その種類はいろいろ。今回は、浮世絵の動物シリーズ第2弾として、ウサギをご紹介します。 広重と北斎のウサギまずは、風景画の名手、歌川広重の「月に兎」から。満月の光に照らされた2匹のウサギ。1匹は満月を眺めていますが、もう1匹は月に関心がないのか、うずくまっています。 画面上部の隅っこが白くなっていますが、この浮世絵は団扇に貼り付けるために作られたもの。四隅を切り抜き、竹の骨に貼り付けて、団扇として実際に使うものでした。風流ですね。 浮世絵版画では、輪郭線があるのが一般的なのですが、このウサギには輪郭線がありません(地面には輪郭線がありますよね)。輪郭線をあえて用いないことで、ウサギの毛がふんわりとした感じ、あるいは、月の光にあたっている感じが表現されています。