私たちには「虎に翼」がある。そう思うと朝起きるのも、月曜日を迎えるのも、全く苦じゃなくなった。現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」。日本初の女性弁護士となり、後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにした主人公・寅子(※1)を伊藤紗莉さんが演じている。 母が進めるように結婚するのは何か気が乗らない。そう思っていた寅子は女性も法律を学ぶことができる明律大学女子部の存在を知り、両親を説得して進学。仲間たちと切磋琢磨し、ついに女性初の弁護士となる。しかし数少ない女性弁護士であるが故になかなか仕事に恵まれず、また戦争によって多くを失うのだった。父も夫も兄も亡くした寅子は、生きて家族を養うため、司法省で働くことになる。 舞台は昭和初期だけれど、その実、描かれていることは決して過去の出来事ではない。性別や、経済状況、人種や出自など、寅子をはじめとする登場人物たちの行く手を阻む壁はみな、今なお歴然と