明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長 村上 一博 Ⓒ三淵邸・甘柑荘保存会 初代最高裁判所長官・三淵忠彦(1880-1950) 寅子は、初代最高裁判所長官の星朋彦(平田満さん)の戦前の著書『日常生活と民法』を、息子の航一(岡田将生さん)とともに改訂する作業をすることになりました。星朋彦のモデルは、三淵忠彦であり、その著書『日常生活と民法』の初版は大正15年です。民法を普及させるため、日常生活に即して平易に講述したものでした。例えば、妻の無能力については、「これには理由があるのであって、我国では夫婦と云ふものは、平等の立場に在るものとは見ない。妻は常に夫の権力の下に服従して居るものと見る。家庭の平和を維持するには妻を無能力者とする必要があると見られて居る」。これを「甚だ不都合な、不平等な制度である」といった非難は「殆ど顧みられ」ず、非難「して居る人は沢山はない」と述べています。