高松忠史 1 陽射 パパ怖いよぅ… ごめんなさい…あなた… わたし… … これまで本当にありがとう… あなたと出会えて良かった… 8年前のあの日… 愛する妻と娘の命を奪ってしまったのは俺だ… ー陽射ー 天空に我を張る太陽の陽がジリジリと肌を刺した。 普段なら海から10kt(ノット)の風が吹き込むこの地だが、今日に限って風神様の気まぐれか風はピタリと止んでいる。 麦わら帽子を被っていてもこめかみや首の後ろに流れ落ちる汗は止まることを知らず、首にかけているタオルで拭いても焼け石に水であった。 白いランニングシャツにグレーの作業ズボンと土で汚れた作業靴はもはや真田諒太のユニフォームであった。 島の人間ならこんな日は家の中や日陰に入って動こうとはしないだろう。 そんなことはここの常識なのだ。 しかし、この男は元々島の人間ではない。 日射は黒く日焼けした肌に追い討ちをかけるように浴びせ掛ける。一人、