「鎌倉殿の13人」(C)NHK 「この先わたしは誰と戦えば良いのか」 壇の浦の戦いで勝利を納めた源義経は、そう呟いた。 その顔の下半分は、歯を剝き出して笑っている。だが、上半分には一切喜びは浮かんでいない。そこにあるのは、虚しさ、悲しさ、寂しさ、やるせなさといった「負の感情」だけだ。 宿願だった打倒平家を果たしたことは、もちろん嬉しい。だが、自らが「戦場でしか役に立たぬ」ことを自覚している義経は、今が「自分の人生のピーク」であることに気づいている。木曾義仲に勝ち、平家も倒した今、自分の役割はもう終わってしまった。 戦いの場でしか生きられない男=バーサーカーであることを自覚しているからこその、”あの”表情なのだ。 “あの”表情を観た時、筆者は鳥肌が立った。 あの複雑な感情を表情ひとつで見せてしまう、菅田将暉という役者はすごい。すごいことは元々知っていたが、改めて痛感してしまった。 「鎌倉殿の