効果の作用機序を説明する理論の観点 理論の論理性 E(低) 牛乳有害説を構成する主張の多くにおいて、消化吸収の問題を取り上げている。そこで、本項でもまず牛乳の消化吸収における問題、具体的には乳糖不耐症(ラクターゼ欠乏症lactase deficiency)を検討する。 日本人を含むアジア系の人種5には、遺伝的に乳糖6を分解する酵素(ラクターゼ7)が少なかったり、活性していなかったりする人が多い。こうした欠損が認められることを乳糖不耐症という。 乳糖とは、牛乳を含む「乳」の大部分を占める糖8であり、乳糖不耐症とはすなわち、この乳糖を上手に分解することができず、吸収不良を起こすことを指す。症状としては、牛乳などの「乳」を飲んだ後におこる下痢、腹痛、腹部膨満などが挙げられる。 この乳糖不耐症が、牛乳有害説を唱える根幹部分の考えとなっていることがうかがえる12。要するに、日本人の多くは乳糖を分解し