はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」 1945年7月4日未明(私は3歳5ケ月) 香川県高松市の北に拡がる塩田の中の沼井台(ぬいだい 塩分の付着した砂を集めているところ)の陰で父に抱かれていた。 周りに数人男の人がいた。 暗い空! 黒い飛行機が低空飛行で海のほうから、市街地に向かって飛んで行った。 「B29(ボーイング29)。」(当時米軍が、日本の空襲に使っていた飛行機) 誰かがつぶやいた。 飛び去ったB29は、左方向に旋回した。 飛行機の下のほうが明るく照らされ、間もなくその下から、赤い炎が燃え上がった。 「丸焼けですな~。」 高松市が、アメリカ軍の空襲にあった朝のことである。 次に覚えているのは、琴電長尾線の高田という駅前の光景である。 その日、土地の方々が高田駅の駅前で炊き出しをして真っ白なおにぎりをふるまってくださった。 その当時、普通の食事は薄い雑炊かサツマイモで