「レオンハルトを追い出しました」 ヴィクター男爵領、その当主が住む屋敷で、当主たるノーマン・ヴィクターと、その妻であるアレクシア・ヴィクターは夕食を摂っていた。 テーブルに並んだ料理は当主であるノーマンが魔物を狩ってくるために肉類こそ多いが、王都の法衣貴族出身のアレクシアからすれば量はともかく質は物足りないものだった。 アレクシアの基準でマシだと言えるのは、アレクシアが実家から送らせているワインぐらいのものである。 そんなアレクシアの食は細い。薄切りのハムにソースを掛けたものや緑色の多いサラダなどの、アレクシアの舌でもなんとか口にできるものを少量口にするぐらいである。 相変わらず不機嫌な顔で食事を摂るアレクシアに向かって、夫たるノーマンは怪訝な顔を向けた。 「はぁ? なんと言った? アレクシア」 「レオンハルトからの提案で、魔の森の開拓を許可しました。メイドも好きなだけ連れて行くように申し